美容師・理容師の年収は284万円で月収平均は23万円くらい!

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これから美容師や理容師を目指している方々だったら

「美容師(理容)はどれくらいのお金がもらえるのかな?」
「月収20万円くらいはもらえるのかな?」

と疑問や不安があると思います。美容・理容師の平均年収は284万円で、月収だと23万円くらいです。ただし、これは平均であり、新人ですと16~18万円程度の月収が新人の給与となりますので、年収が高い業界とは言えないのです。

しかし、年収をあげていくことも可能です、それにはカットスキルとともに接客スキルを高めて、リピーターを増やし、売上を高めていくことが大切です。

なぜなら、自分のファン(リピーター)を増やしていくには、カットスキルがあっても気に食わない人のファンにはならず、最高の接客をしてくれるスタイリストのファンになり、スタイリストは、多くのリピーターにより売上を高めていくことができるようになるからです。

本日は理容業界で15年の経験があるプロのスタイリストの私が、美容・理容業界の平均年収について具体的に解説いたします。

美容師・理容師の平均年収は284万円!月収は「23万円」つまり、あらゆる産業の中で、とにかく年収が低い業界なんです!

下記は、年収ラボに掲載されている「年収ランキング」より、引用させてもらっている美容師・理容師の平均年収です。下記のグラフの中には「理容」とありますが美容も理容も同じデータなので、美容・理容とわず下記のグラフを見てください(おそらく厚労省の元データに美容と理容の違いがないため同じデータになっています)。

◆美容師・理容師の平均年収の推移(平成20年~平成27年まで)

年収ラボ:理容師の平均年収(平成27年)

これをみると、直近データの平成27年(2015年)の平均年収は284万円となっており、月収は23万円程度になります。ひょっとしてこのデータを見て

これから美容師を目指すあなた「お、23万円ももらえるなら、全然いいじゃん!」

と勘違いをされていると思いますが、これは20歳の新人から60歳以上のベテランを含めた平均値であり、ざっくり言えば平均年齢30.2歳の月収が23万円ということになります。つまり、新人の平均給与は、私の経験から言えば16万円~18万円程度になります(これでもだいぶ良くなりました。私が見習いの時は14万円程度でしたから)。

なぜ、美容師・理容師の平均給与「23万円」、新人の給与は「16~18万円」程度と安いのか?

年始ラボのデータによると、全30種の職業の中で年収ランクは

27位:ホームヘルパー(304万円)
28位:美容師(284万円)
29位:理容師(284万円)
30位:調理師見習(262万円)

となっており、全産業の平均年収は420万円※ですから、平均的な年収から136万円をかけ離れており、相当年収が低い業界と言われても否定できません。

※参考記事:民間給与実態統計調査(国税庁)

では、なぜこんなにも年収が低い業界なのでしょうか?

 

美容・理容業界の年収が低い理由は業界の古い体質のため、もっとわかりやすく言えば経営者の考え方が古い

この業界の年収が低い理由は、経営者の考え方が古いのが理由です。なぜなら、今はお店の経営者たちも、昔の修行時代は「月給13万円」程度という、今よりも低い基準でがんばっていました。また、18時以降のお店閉店後も、23時近くまで練習するのが当たり前でした。

経営者「俺の時代は新人は13万円で夜遅くまでは足りていたんだ、若いやつは16万円ももらえるから、全然良い!」

と思っている方も多く、そのため給与がなかなかあがりません。しかし、今は時代が変わり、努力しているお店も少しずつでてきております。

例えば「歩合制」を導入して、給与をあげるためには、売上もあげないといけませんが、もし売れっ子になり、リピーターのお客さんがつけば、給与は青天井というサロンも出てきております。

美容・理容師の給与体系をざっくり紹介

ジュニアスタイリスト  16万円~18万円(新人~3年目程度)
スタイリスト      20万円~21万円(3年目以降)

そして、スタイリストとして、給与を上げたいのなら歩合制のお店の場合は「売上」をあげていかないといけません。もし、まずは月給30万円が欲しいというのであれば、下記が目安となります。

◆30万円の月給が欲しいスタイリストの売上目安

月の売上=90万円
客数(月)=100~150人
客数(1日)=5~7.5人

単に「もう5年目だし、給料がもっと欲しい」というのは通用しません。美容・理容業界の場合はしっかり、自分のお客さん(リピーター)を獲得していき、お店の売上をあげていかねばならず、その目安の売上が月額90万円となります。

もし、これから美容・理容師を目指す方であれば「1日5人くらいって楽勝じゃない?」と思いますが、この数字を達成するのは結構大変です。この業界は月に1回くらいしかお店に来てくれません。したがって自分を指名してくれるお客さんを、その地域で100人から150人作らないといけないのです。

これは相当大変なことなのです。

理容・美容業界で給与を上げていくには?カットスキルとともに接客スキルをあげていく!接客スキルが重要

この業界は、通常のサラリーマンのように、年々給与があがっていき、普通の実績であれば35歳には年収500万円に達するという業界ではありません。ジュニアスタイリストから初めて、経験を積んでスタイリストになり、そこからは「売上」をあげていくしかなく、自分で月間90万円の売上を作っていくしかありません。

そのために求められるスキルは以下の二つです。

・カットスキル
・接客スキル

しかし、コンテストで優勝してしまうくらいのカットスキルを持つ人でも、売上が伸びないということはあります。そういうスタイリストは「接客スキル」が低いのです。そしてコンテストに上位者には「天狗」になってしまうスタイリストも一定数おり、そういう方は接客もどこか「そっけなかったり」「上から目線」な接客になってしまうのです。例えば以下のような例です。

◆カットスキルが高い人がやってしまいがちな接客態度の例

あるお客さんがカットに納得がいかず、数日後に刈り直しに、店にやってきました。しかし、スタイリストの態度が「これのどこが刈り直しが必要なんだよ!!!(言葉には出さず心の中で)」という態度を見せます。そうするとお客さんも馬鹿ではないので「あ、なんかこの人は違う」と違和感を持ち始め、そのスタイリストの態度を察し、二度とお店に来なくなりました。

こういう場合は、お客さんにはいろんな方がいるので「すいません!すぐに刈り直しをさせていただきますね!」と申し訳なさそうに対応すれば良いのです。お客さんをスタイリストの経験から言いくるめようとしてはいけないのです。

お客さんの中にも、左右のもみあげが1ミリもずれていないのに、思い込みで「右のもみあげをもう少し短く!」という方はいるのです。

しかし、そういう場合で「もみあげは左右一緒です!」と言わずに「わかりました!」とニコニコ対応すべきなのです。

また、接客スキルで大事なことは、前回お客さんと話した内容を覚えておき、二ヵ月後に来店したときもお客さんの前回の話を覚えておく(カルテに書いておく)ことでお客さんも「このスタイリストは、私のことおぼえてくれれているんだ!」と思えば、あなたのファンになってくれます。

接客スキルが高ければ、カットスキルが普通であっても、お客さんは確実に増えて行きます。カットスキルも大事なのですが、それとともに接客スキルを伸ばして、スタイリストのリピーターを増やしていくことが、売上を伸ばしていくことになるのです。

1年間、しっかり接客していけばご自身のファンも増えてくるものなのです。私も独立して店舗を出店したときに、その地域に全く人脈などありませんでしたし、1日に誰もお客さんがこないこともありました。しかし、来ていただいたお客様に親身になった接客をこころがけることで、初年度から黒字を達成することができました。

ですから、年収の低い業界ではありますが、接客スキルを身につけて、ご自身のお客さんを持つことができれば、月収30万円は超えますし、独立しても、お店を変えてもお客さんがスタイリストについてきてくれるようになるのです。

自分のお店の給与が低ければお店を変えてもよい!

もし、スタイリストとして経験を積み、接客スキルもあり、売上を計上しているにも関わらず、給与が上がらないお店で働いている場合は、お店をかえてみるのもありです。売上を出せるスタイリストであれば「歩合制」でお店を探せば自分の頑張っただけ、給与を高めることができます。

しかし、「前のお店のお客さんを引っ張ってくる」というのは地方の場合は困難と言えます。なぜなら地方のお客さんというのは自宅の近くにあるから、そのお店にいくのであって、自分のスタイリストが二個先の駅のお店に移ったとしても、お客さんはついてきてくれないことがほとんどです。

東京の店舗であれば、わざわざ地方から、そのスタイリストに会いに来ているかたがいるためお店を変えても、お客さんもついてきてくれますが、地方では難しいでしょうから、そういう事情も転職前に踏まえて、歩合制のお店では、一から売上を作っていくことを覚悟しましょう。

フリーランスのスタイリストの月収は40万円くらい

すでに解説したように、「カットスキル」と「接客スキル」の両方を合わせ持てば、いくらでもお金を稼ぐことができます。

例えばこの業界には「面貸業務委託」というフリーランス業態があり、つまりお店が椅子や鏡など、スタイリストがカットをできる環境をお店の中で用意し、お店の社員ではないのですが、お店の中でフリーのスタイリストとして、稼ぐことができます。

お店にロイヤリティを支払うのですが、このやり方で月収40万円を稼ぐ人も多くいます。こういうフリーのスタイリストを募集するお店もあり、求人広告には「月収50万円も可能」と買いてありますが、私の経験だと40万円くらいが実際の稼げる限度となることが多いようです。

独立して成功すれば、年収は2~3倍になる!

もしスタイリストとして、キャリアを積んで、資金を貯めて独立し、一人で90万円以上を達成することができれば、経費を差し引いて40~50万円を毎月残すことができるので、それがご自身の収入となれば、大幅に年収を増やすことができます。

ただし、独立するなら自己資金が500万円はないといけません。なぜなら自己資金が大きくないと、銀行もお金を貸してくれません。もし、お店の改装費や設備費で1000万円で独立する場合は、自己資金が500万円は必要になるからです。

1000円床屋のようなところに就職すれば月収はあがるが!?

理容・美容業界の年収があまりに低いために「1000円床屋」に転職するジュニアスタイリストやスタイリストが結構多いです。なぜなら1000円床屋は給与が高めに設定されているからです。下記をご覧ください。

◆1000円床屋の月収相場

・スタイリストは22~35万円
・エリアマネージャーは40万円

となっており、特にスタイリストの月収は高めに設定されております。1000円床屋がなんで、こんなに月収が高いかというと、一日にカットする人数が非常に多く、繁盛店の1000円床屋の場合は

◆スタイリスト一人当たりのカット人数

50人 × 20営業日 = 1000人

しかも、一ヶ月で800人はカットしないと1000円床屋では一人前とされないケースもあり、かなりハードワークの仕事となるのです。

ただし、給与が高い1000円床屋もある程度のキャリアを積むと給与の限界が来ます。エリアマネージャーになると、それより高い給与はかなり難しいようです。また最近の「働き方改革」の波で、今は1000人カットするのは大変難しくなってきているようです。そうなると売上がおち、給与にも影響するはずです。

そして、1000円床屋は客層が良いとはいえず、クレームもよくあります。本部に「○○駅前のおたくの社員はひどい」とクレームが入ると、事の真偽はともかく減給されてしまうようです。

筆者は、スタイリストとして生涯キャリアを積むことを考えるなら、1000円床屋はおススメしません。なぜならカットに求められるのはクオリティではなく、スピードであり、またお客さんも1000円床屋では接客スキルを求めていないことから、接客スキルが身につく仕事ではありません。

独立の開業資金を貯めるためにと割り切って、1000円床屋で働くのはありですが、目の前の給与につられて働くと、スタイリストとしては、1000円床屋以外で働けなくなつてしまうリスクがあることを覚えておきましょう。

全く違う業界に転職する方が多い!

美容・理容業界は年収が低く、また一人前のスタイリストになるのに時間がかかるために、途中で業界をあきらめて転職する方が結構多いです。とくに同じ接客業ということもあり、飲食店に転職する方が多いですが、接客自体がダメだ!という方の中にはトラックの運転手になる人もいました。

他にはスタイリストは立ちっぱなしの仕事のために「腰」を痛めるスタイリストあるいは「手荒れ」に悩むスタイリストが多く、そういった理由からやめてしまう人も多くいます。

私の感覚ですと給与に不満があり、やめていく人は、他の業界にいくよりも1000円床屋に就職する人が多い傾向があります。

最近は副業を認めているお店もある!

人手不足の業界ですから、理容・美容のお店には「副業OK」とするところも増えてきました。ある程度のスタイリストになれば、お店の休みに、場所を借りて、メイクの仕事をして稼いだりする人も多くいます。

また、理容・美容に関係ないですが、キャバクラ嬢の送迎の仕事をやるなどして、お金を稼ぐひともいるのです。

まとめ:理容・美容で年収をあげたいなら接客スキルを磨くべし!

カットスキルをコンクールで優勝するほど、高めても、実際のカットミスは、もはやプロにしか見わけがつかない非常に細かいレベルの話になります。それはそれで重要なことでありますが、お客さんからみるとカットスキルよりも接客スキルの方が、非常に重要なのです。

私は15年間スタイリストとしてやってきましたが、年収をあげたい方へのアドバイスがあるとしたら「接客スキル」をあげていくことがもっとも近道であると思っております。

一度、カットスキルを身につけ、ご自身で多くの「お客様」から支持をいただけることができたのなら、それはスタイリストにとっては資産であり、一生食べていくのに困らないでしょう。そのためにも接客スキルをあげていくべきなのです。